(2)食料が消える…「飢え」が健康を蝕んでいく
日本でも活動映画弁士だった徳川夢声は別荘地での自給や物々交換で戦時をしのぎ、戦後に吉田茂首相の懐刀としてGHQとの折衝にあたった白洲次郎も東京近郊で農的生活を営んだ。こうした実践は、供給が途絶えたときの生存戦略を示している。
■食料不足の悪影響は孫の代まで続く
無視できないのは、戦時の食料不足の影響は戦後も続き、成人期の健康状態の悪化だけでなく、次世代の生活習慣病の発症リスクにつながることだ。
「第二次大戦末期のオランダ飢饉を追跡した研究では、胎児期に栄養不足を経験した人は成人後に肥満、糖尿病、心血管疾患のリスクが高いことが示されています。その影響は出生体重や代謝異常の形で次世代にも及ぶ可能性が指摘されています」(永田氏)
この研究は医学会で胎内環境が将来の健康を規定する「発症起源説(DOHaD)」を裏付ける代表的な証拠とされている。
食料不足は過去の話ではない。食料供給の不安定性は、戦時や災害時において現代でも起こり得る課題だ。持続的に食べ続ける力をどう確保するか--それが戦時の健康の核心である。次回は、これと密接に結びつく感染症と衛生の問題を考える。=つづく




















