(25)老健への移動日の“サプライズ”に満足そうに顔をほこらばせた
「実は、先日再び長谷川式認知テストをしたら22点でした」
ビックリである。21点以上なら正常と評価されるからだ。点数だけ見れば喜ぶべきなのだろうが、そのまま認知面が良くなったと受け取るのは時期尚早だと思えた。
「老健では担当が代わりますけど、これまで以上に頑張ってリハビリしてくださいね」
医師の励ましの言葉に見送られ、看護師の案内で隣接する老健の棟に移動すると、「しばらくはこちらの部屋をお使いください」。
招き入れられたのは個室だった。
6畳分ほどの部屋にベッド、小さなテーブルと椅子、タンス、テレビ、トイレが備え付けられていた。あれ、大部屋じゃないの。戸惑っていると、「多床室に空きが出るまでどうぞ。差額は必要ありません」。
2週間ほど多床室料金のまま使っていいと告げられた。このサプライズにおかんは顔をほころばせる。おかげでその後、次々にやってきた新たな担当の看護師、作業療法士、歯科衛生士らの挨拶に笑顔で応えていた。やれやれ……。
ただ2週間後、多床室に移った時にどう反応するかは未知数だ。念のため「やっぱり個室の方がいい?」と問うと「そうね、少しくらいぜいたくしてもいいかな」と即答する。
そこで帰り際、正規の個室料金を確認したら……。冷や汗が出た。



















