(8)法制度のはざまに落ちた患者…弁護士事務所に置き去り
外で他の業務中だった弁護士2人は、業務を切り上げて女性の宿泊先を探すなどの対応をせざるを得なかった。直前まで連絡もなく事務所に患者を置き去りにして業務妨害したとして、弁護士らは2024年7月、損害賠償を求め提訴した。
今年3月、東京地裁の法廷で院長は、女性が以前住んでいた自治体3つのうち、どの自治体が女性を引き受けるかで調整に時間がかかったと説明。退院請求があったころ、地域移行事業所と契約し、11月には支援が動き出すところだったのに、退院を求めてきたので、「2カ月かけた退院準備を水の泡にするつもりか」と不信感を抱いたという。
院長は、「精神保健福祉法を読むと選択肢は3つで、退院請求取り下げ、72時間以内に医療保護(強制)入院に変更、72時間以内に退院のいずれか」として、「今退院すると居住先が決まっていないので困るのでは」と女性に取り下げを勧めたが、「弁護士がそれが最善というので任せる」と繰り返したという。
審査会に事情を説明したところ、「居住先がないから入院という社会的入院は妥当ではない。退院させるしかない」といわれ院長は退院を決定した。女性が「弁護士事務所に行きたい」と希望したため、弁護士にバトンタッチするしかないと考え、送り届けたと述べた。


















