冬こそスリーピーススーツを 上着を脱いでも礼を失しない
フランネルのスリーピーススーツにマフラーと手袋さえあれば、駅まで10分の距離を歩くぐらいなら、寒さなんて何のその。ジャケットの中にベストを着ると、温かい空気の層がつくられるため、都会の冬ならセーターやヒートテックどころか、ダウンコートなど分厚いアウターは不要だ。
言うまでもなく、スリーピースには「格上の印象」がある。役職はもちろん、社会的ステータスの高い職業の人が着るスーツというイメージがあり、フレッシャーズなど若いサラリーマンには不釣り合いに思われ、会社で着るのを遠慮してしまいがちだ。しかし冬のスリーピースが意外と温かいことを知っているのは、こういった社会的ステータスの高い人々に限られる。
イギリス発祥の近代スーツはジャケット、ベスト、パンツの三つ揃えが正式である。
ベストを脱いだのは、実用主義を貫く20世紀のアメリカ人だ。ジャケットさえ着ていれば、ベストがなくても見た目にそれほど変わらず、普段からTシャツ姿がアタリマエのお国柄ならば、ワイシャツ姿が失礼などとはみじんも思わないのだ。