気象庁は前例ない「潮位変化」に右往左往…不安を誘う説明は予算削減も一因だった
「今回の潮位変化は津波かどうか分からない」「メカニズムも不明」──。気象庁の不安を誘うような説明は“金欠”のせいだったのか。南太平洋のトンガ沖で発生した大規模噴火の影響による津波警報の発表を巡り、右往左往。海外での大噴火で起きた日本列島海域の潮位変化は過去に経験がなかったとはいえ、この国の災害情報網の脆弱さを思い知らされた。
■減額続きの気象庁予算
何しろ、気象庁の予算は2015年度以降、削減続き。来年度の予算案もご多分に漏れず、今年度比約6億円カットの約531億円。日々の業務を支えるシステム整備や維持に費やす予算も年々減少しており、本当は新たな気象衛星やシステムを導入し、気象予測・観測を強化したいのに、2億円ほどしか予算を割けない状態である。
涙ぐましい努力も続く。気象庁は国の行政機関としては異例の民間バナー広告を公式HPに掲載中だ。担当者が言う。
「月額でおよそ80万円、年間1000万円ほどの広告費をHPの運用に充てています。2020年7月の運用開始時には検索履歴から一人一人に合った広告がランダムに表示される『運用型広告』を使っていましたが、法に抵触する不適切な商品広告が確認されたため、停止。現在は、あらかじめ広告を一つずつチェックしてから掲載しています」
岸田首相は施政方針演説で「日本を取り巻く環境の厳しさや安全保障」と強調したが、災害情報も国民の大事な安全保障の一環だ。これだけ異常気象や災害が頻発すればなおさらだ。
1000万円くらい、どこかの省庁からフンだくってきても罰はあたらない。