容疑者に口説かれ、犯罪側に寝返ってしまったイラン人司法通訳の顛末
司法に携わる通訳は2通りある。警察署・検察庁・裁判所側と、弁護士側。敵対関係とまでは言わないが、お互いに知り合ったり、事件について話し合ったりしてはいけない。また両側の仕事を同時に受け持つこともできない。
警察の取り調べ以外、検事と判事で同じ通訳人を使うケースが多い。容疑が固まれば、容疑者は送検、事件の詳細を把握している通訳人が担当すれば、逮捕→取り調べ→送検→判決と事件の解決がスムーズ。午前中は地検、午後は地裁。通訳人にとっても効率のいい仕事である。
弁護士の通訳はというと、弁護士が国選と私選に分けられるので、クライアントも違う。日本の法律では、お金の工面ができない容疑者に無料の国選の弁護士がつくことになるが、その通訳は弁護士会が用意してくれる。一方、私選の場合は容疑者がお金を出して、弁護士と通訳に依頼し、接見などを通じて事件の真相を話し、裁判所で弁護してもらうことになる。
まれではあるが、私選弁護士が犯罪組織に取り入れられ、御用達として犯罪に加担したり、法律の抜け穴をうまく悪用する指導役になる場合もある。また私選弁護士側の通訳は実は犯罪組織の一員で、弁護士と一緒に接見に行く際、容疑者に「毎月の手当と出所後の報奨金を用意するから、決して仲間を裏切らずに頑張れ!」と励ましたりするケースもある。