旧統一教会が韓国MBCの調査報道番組に猛反発 同国新聞13紙に抗議声明文も話題にならず
2022年9月7日、韓国の新聞13紙に「世界平和統一家庭連合 声明文」と題された全面広告が掲載された。同連合は旧統一教会の新たな名称だ。広告の扱いとはいえ、主要紙以外も含めた多数の新聞に旧統一教会の主張が載るのは、極めて異例といえる。
声明文の内容は、同年8月30日に韓国の放送局MBCが調査報道番組「PD手帳」で、安倍晋三元首相の銃撃事件と教団の関係を特集したことへの反論だった。「安倍元首相、銃撃犯、そして統一教会」と題された特集では、銃撃事件の背後にあるとされる高額献金や家庭崩壊の実態について、元信者らの証言を交えて放送された。
旧統一教会はこれに強く反発し、声明文で「真実かどうか検証されていない内容を、あたかも真実であるかのように報道することは、あってはならない」と述べ、放送の内容を全面的に否定した。放送翌日には、再三の放送中止要請にもかかわらず「悪意的な偏向放送と宗教弾圧を扇動した」として数千人の信者がソウルのMBC本社前に集まり、抗議活動を行っている。
だが、こうした動きは韓国内でほとんど報道されず、話題になることはなかった。たまたま抗議集会を目にしたという30代の韓国人男性は「信者の姿を初めて見た。統一教は名前を聞いたことがあるだけで、どんな団体なのか全く知らない」と素っ気ない。