出口治明さん前向き闘病記 「落ち込んだのは3秒だけ」脳出血で半身まひと言語障害に陥るも1年後に学長復帰
60歳定年後も元気に働ける高齢者が増えたものの、活躍の場は限られている。そんななか、60歳にして世界初のネット専業生保「ライフネット生命保険」を立ち上げたスーパーサラリーマンがいた。出口治明さんだ。大病を患ったと聞いたが、お元気だろうか。
◇ ◇ ◇
出口さんに会ったのは、JR東京駅そばにある「立命館アジア太平洋大学」東京キャンパス。
「ライフネット生命」代表取締役を69歳で退任後、同大学第4代学長に就任した出口さんは、大学本部のある大分県別府市に単身赴任していた。ところが……。
「ご存じない方もいるかもしれませんが、5年前に脳出血で右半身まひと言語障害の後遺症が残りました。懸命にリハビリし、1年後に学長職に復帰。別府での単身赴任生活に戻りました。3年前に退任してからは東京の家族の元へ戻り、顧問として、ここに週3日通っています」
電動車椅子を操ってミーティングルームに現れた出口さん、ゆったりした口調でこう言った。重い後遺症をはね返し、学長に復帰するとは並大抵ではない。
「僕は病発症時も案外、楽観していて、落ち込んだのは3秒だけ。誰でも人生、いつ何が起こるかわからない。だから何が起きても、できるのは受容と適応だけ。そうした人生観は、多くの人と会い、古典を読み、旅をすることで培いました。大病経験後もその人生観のまま、ただ懸命にリハビリに取り組みました。嘆いたり、後悔したりしても何にもなりませんから」
凡人には及びもつかない精神力だ。
「3年前に学長を退任したのは、初めから2期6年で満了だったからです。満了後は職員らに請われ、こうして午前9時半から夕方4時半まで東京キャンパスに出勤しています。来客に会っていることが多いですね。だいたい1日2組。僕の本を読んだ人が会いに来たり、編集者が打ち合わせに来たり。あとは読書や原稿の執筆。著書は、昨年は6冊出しました。僕の活動が大学のPRになればと思っています」
朝8時40分に自宅を出て、1人で介護タクシーに乗り出退勤するという。
「お昼も1人で出かけ、近くの大丸デパートで買ってきて食べています。東京も別府も、車椅子で移動していて困ることはほとんどありません。車椅子でも、どんどん外に出ていくべきですね。外に出て人に会えば、刺激を受け元気が出ます」
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