著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(26)神戸三宮の小舟

公開日: 更新日:

 これがうまかった。昔、東京は吉祥寺の「ハバナムーン」というバーで、カリブ海の小島、マルティニーク島産のホワイトラムを教わった。トロワリビエールというラムで、その店の主は、これをカイピリーニャスタイルで出してくれた。サトウキビを原料とするブラジルの蒸溜酒ピンガにザラメとライム果汁を溶かしたのが、カイピリーニャ。そのベースをマルティニーク島産のラムに変えた1杯で、実にうまくて、何杯かお代わりをした記憶がある。

 サトウキビジュースから造るスピリッツと聞いて、ザラメを入れるのかと思ったが、NAGURAというこのラムに甘味があるから、砂糖は入れずにどうぞと勧められた。

 小皿のオレンジとレモンを齧りながらクラッシュアイスに注いだラムを啜る。このレモンは、パキスタンレモンといって、見た目ほどの酸味はなく、むしろ甘い。これが、石垣島のラムによく合う。

 なんと、うまい酒か。すっかり飲み疲れた私の舌と感覚が蘇生した。一度だけ訪れたことのある石垣島の風さえ感じられる。三宮の夜に浮かぶ小さな船で、心地よい揺れに身を任せている気分だ。

 さて、最後の1杯に、マンハッタンをいただいた。これもまた、いい。一度だけ訪れたことのあるニューヨークの風が感じられる。

 ああ、実にシアワセな気分だ。三宮の夜は、いつもこんな幸福感に満ちている。

【連載】大竹聡 大酒の一滴

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