(26)神戸三宮の小舟
これがうまかった。昔、東京は吉祥寺の「ハバナムーン」というバーで、カリブ海の小島、マルティニーク島産のホワイトラムを教わった。トロワリビエールというラムで、その店の主は、これをカイピリーニャスタイルで出してくれた。サトウキビを原料とするブラジルの蒸溜酒ピンガにザラメとライム果汁を溶かしたのが、カイピリーニャ。そのベースをマルティニーク島産のラムに変えた1杯で、実にうまくて、何杯かお代わりをした記憶がある。
サトウキビジュースから造るスピリッツと聞いて、ザラメを入れるのかと思ったが、NAGURAというこのラムに甘味があるから、砂糖は入れずにどうぞと勧められた。
小皿のオレンジとレモンを齧りながらクラッシュアイスに注いだラムを啜る。このレモンは、パキスタンレモンといって、見た目ほどの酸味はなく、むしろ甘い。これが、石垣島のラムによく合う。
なんと、うまい酒か。すっかり飲み疲れた私の舌と感覚が蘇生した。一度だけ訪れたことのある石垣島の風さえ感じられる。三宮の夜に浮かぶ小さな船で、心地よい揺れに身を任せている気分だ。
さて、最後の1杯に、マンハッタンをいただいた。これもまた、いい。一度だけ訪れたことのあるニューヨークの風が感じられる。
ああ、実にシアワセな気分だ。三宮の夜は、いつもこんな幸福感に満ちている。

















