「羊フェスタ2026」主催者が語る 羊ファンが魅了されるのは“ちょうどいいマイノリティー感”
食は楽しいもの。その延長に羊がいる
──国内の羊肉(ラム)の主なシェアはオーストラリア産が7割、ニュージーランド産が3割。国産は1%未満と聞きますが、国産が増えていかないのはなぜですか。
羊飼いの人が少ないんですよ。今は2万5000頭くらい。そもそも羊は1回に1頭しか生まれないので、増やしづらい。しかも羊飼いが同じ地域に全部集まっているんならやりとりができるんですが、各県に1、2軒しか羊飼いがいない場合、頭数も100頭とか200頭なので、羊を診られる獣医さんがいない。羊を受け付けてくれる食肉処理場もない。あとは、血が濃くなるのでオスを交換していかなきゃダメなんですが、近くの牧場にいないとなると、オスを求めてトラックで果てしない旅をするようになる。人数が少ないので、国主導の研究などがほぼなく、みなさん「うちに合う飼育法はどんな感じなんだろう」と情報交換しながら、悩みながら育てている。本当にパッションと愛情とこだわりがないとできないのが羊飼いなんです。絶対に私はできないので、羊飼いと、羊の飲食店やっている人はものすごくリスペクトしています。
──世界では羊がごちそう肉と聞きます。
宗教的なタブーが少ないうえに、頭数が増えにくい。希少で高いものは、どの民族でもごちそうになりやすい。その合わせ技でしょう。
──印象に残っている羊体験は?
すごいベタなんですが、羊の丸焼きです。羊齧協会は、私が北京に留学していた1997年に結成し、2013年に名前を改めて活動を活発化したんです。動物の丸焼きって、漫画などであるじゃないですか。すごいご馳走感ですよね。だから協会の当初の目的が「羊の丸焼きしたいよね」。北京でも私の知る範囲で羊の丸焼きはなくて、遠い目標のはずだったんですが、当時六本木にあった「中国茶房8」さんが「できます」。半年で目標が達成できてしまいました。今では秋葉原の「香福味坊」さんはじめ、羊の丸焼きを出しているお店が増えましたね。
──今後、羊は日本の家庭に広がりますか。
羊を使った生姜焼きや肉じゃが、カレーなど、いろんな家庭料理のレシピが紹介されています。どれもすごくおいしいんですよ。でも、豚や鶏と比べて高い羊をあえて使う必要ないよね、と。ジンギスカン以外に日本では、羊じゃないとダメっていう料理がなかなかない。だから私は、一つの道として、ご馳走としての道を極めていくという感じでいいと思います。「今日、ラム肉の料理出てきたけど、なんかいいことあったの?」「誕生日だからラムチョップ焼いてみた」ぐらいの。いわば、すき焼きの立ち位置です。
──菊池さんにとって、羊とは?
祖父が岩手・遠野の出身で、物心ついた頃から親戚が集まると羊を食べていました。留学先の北京でも羊はハレの食べ物でした。私にとって、食事は楽しいもので、その延長に羊がいるんです。
(聞き手=和田真知子/日刊ゲンダイ)
▽菊池一弘(きくち・かずひろ) 1978年生まれ、岩手県出身。北京外国語大学への留学を経て、2012年に羊肉の消費者団体「羊齧(ひつじかじり)協会」を設立。場創総合研究所代表取締役。著書に「食べる!知る!旅する!世界の羊肉レシピ」(グラフィック社)など。今年9月には、食にまつわる構想を文化と事業に育てる企画集団「円卓会」を創設した。
■関連記事
-
おとなの工場見学 「VECTOR BREWING(ベクターブルーイング)寄居醸造所」林の中の元プロレス会場で生み出される個性豊かなビール
-
注目の人 直撃インタビュー 「羊フェスタ2026」主催者が語る 羊ファンが魅了されるのは“ちょうどいいマイノリティー感”
-
もぎたて海外仰天ニュース 地上41階160mの高層ビルからベースジャンプしたら宙づりに…NZで救助されたベルギー人男性の顛末
-
知らないと怖い! AIとネット社会の落とし穴 タイムズカーで免許証画像146万件、ヤマトでは購入履歴も流出…あなたの個人情報を守る「7つの自衛策」
-
知らないと怖い! AIとネット社会の落とし穴 GMOで顧客情報流出やFX不正取引、熊谷正寿社長が涙の謝罪も…セキュリティーの研究者が指摘する「本当の問題点」
-
世のオジサンたちが佳子さまに期待する「婚活ファッション」など余計なお世話 ご本人の装いににじむ社会へのメッセージこそ至高
-
年金不安時代を生きるワーキングシニアの懊悩 パチンコの景品交換所はシニアに人気の仕事 元ホワイトカラーが辞めない理由とは?



















