「羊フェスタ2026」主催者が語る 羊ファンが魅了されるのは“ちょうどいいマイノリティー感”
「ブームですね」と12年間言われ続け、今思うこと
──「日本の羊の今」ってなんですか?
この12年間くらい、私、ずっと「今、羊ブームですよね」という取材を受け続けてきたんですね。確かに羊を扱う飲食店も増えているし、輸入量も増えていて、ファンも増えている。だけど、どこのスーパーでもめちゃくちゃ置いているとか、家庭でしょっちゅう食べるよ、という段階にはなかなかいかない。絶妙な立ち位置なんです。ブームと固定化の間で、その先の道が見えないこの食べ物が、この先どうなるのか。ブームの先が我々もよくわからないので、親和性を持っている人たち、それは出展側だけでなく消費者の方も含めてどんどん参加してもらって、来年の次の形をみんなで考えていこう、と。
──羊に関わる人には、いい意味での“変態”が多い気がします。
ちょうどいいマイノリティー感なんでしょうね。羊肉は注文すれば翌日届くくらいのレベル感。ジビエだとこうはいかない。だけど、牛や豚レベルにメジャーでないところに、みなさん刺激されるんじゃないでしょうか。売れていないアイドルを推す感覚です。ライブハウスで40人の頃から応援してきたのに、武道館に行った途端「最近調子に乗ってる」と言い出す人。羊に関わる人にも、そういう方、いるんですよ。あと、業界全体にゆるい連帯感があって、ライバル同士でも「まずパイを増やしてから争おう」と。ジンギスカン屋同士が仕入れ先を教え合ったりもします。先日、岡山の倉敷で開催された「せとうちラムフェスタ」に応援に行ったんですが、その始まりも、人とのつながりです。羊齧協会のメンバーの妹さんが岡山に住んでいて、岡山に1軒だけジンギスカン屋があると聞きつけ食べに行ったんです。その時「お姉ちゃんが、東京で怪しい協会に入っていて、羊関連のイベントをやっているらしい」とオーナーさんに話したんですよ。すると、そのオーナーさんが羊フェスタに来てくれて、いろんな羊絡みの人を紹介したら、あれよあれよという間に6年後には、せとうちラムフェスタというのが始まったんです。人と人とのつながりが強いですね、羊関係。
──日本と羊の関係は、どう移り変わってきたのですか。
始まりは国策です。戦前、寒い大陸で戦うには羊毛の軍服が欠かせないのに、羊毛は英国圏のオーストラリア頼み。売ってもらえなくなる恐怖から、政府主導で羊を増やした。農家が3~5頭飼って毛を刈るような小規模なもので、最盛期は90万頭を超えました。ところが戦後、化学繊維が登場し、羊毛の輸入も自由化されると一気に手放され、流れはいったん“チャラ”に。当時輸入された羊肉の多くはハンバーグの増量など加工用で、知らずに食べていた人も多いんですよ。そこから気概のある羊飼いやジンギスカン店が少しずつ増え、最近は大手外食企業が自社で羊を飼い始めるなど、裾野が広がってきました。
──年齢や産地で味は違いますか。
ラムは食べやすく、マトンは食べ応えと羊らしい風味がしっかり。羊の香りは草を分解する時に出るもので、草を食べた期間が短いほど薄いんです。ソース文化の欧州はクセの少ないラム、中国や中東はマトンにスパイスをかけて豪快に焼いたり煮込んだり。餌でも変わります。牧草がないアイスランドの羊は、コケやハーブを食べるので独特の香りがあります。
──初心者は何から試せば?
まずは食べやすいラムから。都内には産地を食べ比べられる専門店もあります。鉄板で焼いて炭で仕上げると、本当においしい。違いがわかると、ぐっと面白くなりますよ。
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