著者のコラム一覧
中川淳一郎編集者・PRプランナー

1973年生まれの編集者・PRプランナー。多数のウェブメディアの記事にかかわる。日刊ゲンダイ「週末オススメ本ミシュラン」担当。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『それってホントに「勝ち組」ですか?』など。

旭川女子高生殺害事件でも騒然…なぜ女性の事件はネットで盛り上がるのか? 見えてきた論調支配者の属性

公開日: 更新日:

 2つ目の理由が、「ネットの論調を牽引するマジョリティの属性」である。ポータルサイトのコメント欄やSNSに積極的な書き込みを行う層は、複数のビッグデータ分析やアンケート調査において、男性が約75~80%、女性が約20~25%という結果が出ている。つまり、ネットの世論やバズの方向性を決めているのは、圧倒的に「男性の視線」なのだ。だからこそ、女性犯罪者が現れた際、事件の本質だけでなく、その容姿や生い立ち、過去の発言といった「キャラクター性」にまで執拗にスポットが当てられ、消費されていく。

 2010年代のネットカルチャーを振り返ると、女性犯罪者の名前を検索窓に入力するだけで、予測変換に「美人」や「かわいい」というワードが躍ることが常態化していた。また、アクセス数(PV)を稼いで広告収入を得る「トレンドブログ」と呼ばれるコピペサイト群では、「〇〇事件の××容疑者が美人と話題! 彼氏は? カップ数は?」といった、下俗な覗き見根性を丸出しにした記事もどきが大量生産された。

 こうした構造は意外と古くからみられる。1987年に起きた「大韓航空機爆破事件」の実行犯である北朝鮮の工作員・金賢姫(キム・ヒョンヒ)が連行された際、その容姿の美しさから、当時一部の日本人男性から本気で求婚の手紙が相次いだという歪んだエピソードがある。私のネットウォッチ分析では、①女性の犯罪者は希少ゆえに注目されやすい、②男性主導のネット空間において女性犯罪者は「容姿」というフィルターを通してコンテンツ化(記号化)されやすい、という2つの決定的な歯車が噛み合ってしまっている。

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