茅場町「アンデルセン」誤算だらけの店だからこそ共に成長
「昭和レトロ」はあまりによく使われる表現なので、なるべく避けたいところだ。しかし「アンデルセン」は外観といい、内装といい、昭和レトロと言わずにはいられない店である。
だから、きっとご主人は「この道50年」というような人だろうと思っていたが、オーナーの奥平重則さんは「確かに50年ほど続くお店なのですが私が経営者になったのは、この10年くらいなんですよ」と話し始めた。
もともとは「アンデルセン」のお客さんだった。先代が寄る年波に勝てないと店を畳もうとしたので、「それなら自分がやる」と譲り受けた。
昼間は通関業務を手がける会社を営む。飲食店を経営した経験もなく、ずっと店にいるわけにもいかない。しかも昭和レトロの店構え。
「私だって、お客で最初に入る時は緊張しましたよ。店先を行ったり来たりしましたね」
それでもなぜ継ごうとしたのか。
「もちろんシミュレーションはしましたよ。でもここ、昼間は喫茶店ですが、夜はカラオケが好きな人が集まるスナックなんです。歌好きの私としては、このお店がなくなるのは困ると思いました」