夕月 清水淳子社長(6)震災で行き場を失った「かまぼこ10万本」 避難所に無償配布を決断

公開日: 更新日:

 2011年3月11日に発生した東日本大震災。夕月本社は津波に襲われなかったが、工場に大きな被害が出て操業を停止せざるを得なかった。そればかりか、約10万本もの商品が行き場を失い工場に山積みになっていた。一方、余震が続く市内では、多くの市民が避難所で寒くて不安な一夜を過ごし、スーパーやコンビニから食料品がすべて消えた。

 当時の四家宏之社長が下した決断は「避難所に無償配布」。翌日、どのようにすればいいのか市役所や警察に問い合わせた。しかし両方とも人命救助優先のため掛け合ってもらえず、やむなく自主配布することにした。

「状況が状況だけに出社できる有志だけでしたが、被害が大きかった地区を中心に、手分けして避難所へお届けしました。とは言っても、道路にはうずたかく瓦礫が残り、亀裂が入って通行できないところも多数。震災前なら2、3分で行けたのに、迂回を余儀なくされ、30分以上かかるのはザラでした」と清水社長は振り返る。

 しかも稼働しているガソリンスタンドはごくわずか。無理は禁物だった。だが行く先々で“いわきの味”夕月かまぼこは大歓迎された。それは市民ベースの復興の第一歩だったのかもしれない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    小泉進次郎「無知発言」連発、自民党内でも心配される知的レベル…本当に名門コロンビア大に留学?

  2. 2

    クビ寸前フィリーズ3A青柳晃洋に手を差し伸べそうな国内2球団…今季年俸1000万円と格安

  3. 3

    高畑充希は「早大演劇研究会に入るため」逆算して“関西屈指の女子校”四天王寺中学に合格

  4. 4

    9日間の都議選で露呈した「国民民主党」「再生の道」の凋落ぶり…玉木vs石丸“代表負け比べ”の様相

  5. 5

    国分太一コンプラ違反で無期限活動休止の「余罪」…パワハラ+性加害まがいのセクハラも

  1. 6

    野球少年らに言いたい。ノックよりもキャッチボールに時間をかけよう、指導者は怒り方も研究して欲しい

  2. 7

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 8

    ドジャース大谷「二刀流復活」どころか「投打共倒れ」の危険…投手復帰から2試合8打席連続無安打の不穏

  4. 9

    28時間で150回以上…トカラ列島で頻発する地震は「南海トラフ」「カルデラ噴火」の予兆か?

  5. 10

    自転車の歩道通行に反則金…安全運転ならセーフなの? それともアウト?