富士通(上)時田隆仁社長が公の場で謝罪…イギリス史上最大規模の冤罪事件の元凶
■「富士通に賠償責任がある」
英議会では「富士通に賠償責任がある」との声が強まっている。「英政府の調達から富士通を排除すべきだ」との強硬論まで飛び出した。
富士通の執行役員で欧州地域の共同最高経営責任者(CEO)のポール・パターソン氏が同16日、英下院のビジネス委員会で証言し、(被害者への補償について)「道義的な責任はある」と述べた。同氏は「ポストオフィスに富士通が提出した証拠が、無実の郵便局長らの訴追で使われていた」と認め、「ひどい誤判」(誤った裁判)に関して富士通が担った役割について謝罪した。
富士通は同18日、今後の調査結果に基づき「補償を含めて英政府とともに適切な対応を取る」とのコメントを発表した。英政府は富士通から、「調査終了まで入札に参加しない」旨の通知を受け取った。
ポール・パターソン氏は同19日、英政府の独立公開調査で証言し、「システムの稼働が始まった直後の99年11月時点で29の欠陥があり、富士通は早い段階で問題を把握していた」ことを認めた。不具合があることが当初から分かっていながら、その事実を隠し、郵便局長らの訴追に加担した、ということになりはしないか。
調査委員会は年内に事件の調査を終え、報告書をまとめる。データの不備を裁判でも隠し続けた責任の所在が焦点となる。10億ポンド(約1900億円)ともいわれる賠償金の分担がどうなるかにも関わる重要な論点だ。
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