北海道千歳市「ラピダス」狂騒曲…半導体製造メーカー進出で土地や平均家賃は2倍に!

公開日: 更新日:

 半導体工場には研究施設も併設予定だ。エリート研究者や技術者の移住で、札幌の高級マンション需要にも影響が及びそうだ。

 一方で当てが外れたと語るのは、札幌市内の不動産投資家だ。「地元の名士とも言える企業が千歳市内の好立地にたくさんの土地を所有しているが、創業家の方針でいっさい売ってくれない。賃貸住宅に適した用地が見つかりにくく、隣接の恵庭市などに求めざるを得ない」と出遅れを示唆する。

 工場では来年4月予定の試作ライン稼働開始時点で約1000人の工場労働者が必要とされ、本格稼働後は2000人以上の雇用が見込まれる。さらに、製造装置の保全などで関連産業の従事者も続々と流入してくる見通しだ。

「24時間稼働の工場なので、従業員は通いやすい工場周辺に住むだろう」と市内の不動産業者は指摘。近辺の住宅地需要は、今後さらに高まることが予想される。住民からも、家賃や地価の高騰を心配する声が上がりだした。

 この課題に対応するため、千歳市は昨年12月、不動産業界と連携して「居住支援千歳プロジェクトチーム」を立ち上げた。窓口を一本化し、物件紹介から入居後のフォローまで、企業従業員の住まい確保をワンストップで支援する態勢を整えている。所管の次世代半導体拠点推進室によると来春までには約900室の新規住宅供給も予定されており、物件枯渇はじきに解消されそうだ。

 赤い壁の巨大工場が街の運命を塗り替えつつある。地元では期待と不安が交錯している。

(ニュースライター・小野悠史)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い