日米関税引き下げは「合意文書なし」の口約束…チラつくトランプ大統領の“ちゃぶ台返し”
「日米合意の履行状況の進捗をしっかりと管理してまいりたい」──。「米国の関税措置に関する総合対策本部」の副本部長を務める林官房長官は29日の閣議後会見で、そう意気込んだが、不安は拭えない。何せ関税引き下げは合意文書すら存在しない口約束だからだ。
交渉担当の赤沢経済再生相は29日、合意文書を作成しないことを問われ「激流に乗り遅れず、国益を追求することが大事だ」と説明。27日のNHK番組でも、トランプ米大統領から関税引き下げの大統領令を出してもらうことを最優先に挙げ、「今(文書を)作るのはマズイ」と強調していた。
米国への巨額投資(約80兆円)などと引き換えに、当初は25%の予定だった「相互関税」が15%に引き下げられ、すでに25%を課されている自動車関税も15%にそろえられた。ただ、チーム赤沢氏が求めた「全廃」には程遠く、合意を踏まえた関税率がいつ適用されるかは不明だ。
赤沢氏は「任務完了」と浮かれていたが、大丈夫か。第1次トランプ政権と安倍政権が2019年9月の日米首脳会談で最終合意した日米貿易協定を巡り、トランプ大統領が犯した約束違反を忘れたわけではあるまい。