デリカフーズHD 大﨑善保社長(1)代役として出席した結婚式で運命の出会い
舘本から「君には事業家としての志はあるのか。私は日本の農業を立て直したい」という熱い思いを聞かされ、感化された大﨑は、2年間の約束で舘本に弟子入りすることになった。最初はアルバイトからだった。
「ちょうど外食チェーンが各地で急成長していた時期でした。デリカフーズも拡大していました。野菜の運搬や大根の皮むき、早朝のトラックへの積み込みなど、24時間365日、働きづめの生活でしたが、私は修行だと思い、必死に働いていました。しかし、日を追うごとに仕事は増えていき、それをこなすためには長時間労働、徹夜、休日出勤は当たり前。50代の工場長は疲弊し、疲れ切った現場の社員やアルバイトを叱咤激励して、なんとか回している状況でした。そこで、大根の切り方から、袋詰めの仕方までアルバイト仲間と業務の効率化を進めました」
まだ20代のアルバイトが、仕事のやり方を変えてしまうのは、普通はないことだ。さすがに、批判もあがったようだが、大﨑の改善策は合理性があり、他人を納得させる力もあったのだろう、改善策は次々に受け入れられていったという。