立岩陽一郎
著者のコラム一覧
立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

赤木俊夫さん手記の衝撃 このままでは悲劇は繰り返される

公開日: 更新日:

 故赤木俊夫氏の「手記」の衝撃は筆舌に尽くしがたい。読んで涙が止まらなかったという声は多い。私は、特に官僚制度が崩壊している現実に衝撃を受けた。「手記」によると、財務省理財局長だった佐川宣寿氏から近畿財務局に公文書の改ざんが命じられ、それを赤木氏が担わされる。その後、上司らは栄転し、問題の土地取引に一切関わっていなかった赤木氏だけがその責任を背負わされる状況になる。その精神的な苦痛は想像すらできない。

 焦点は佐川氏がなぜ改ざんを指示したのか。政権の中枢から彼に指示が出ていた可能性も否定できないが、仮にそうでなかったとしても、無言の指示が出ていたと考えるのが合理的だ。それが、2014年に安倍政権がつくった内閣人事局の狙いだからだ。官邸の意を受けて動かない役人は能力の有無にかかわらず出世できない。それがこの政権のつくり上げたシステムだ。

 佐川氏のような財務省キャリアについて考えてみよう。入省後、大きく4つの道がある。予算策定の主計畑、税制を担う主税畑、国際金融を仕切る金融畑、その他は他省庁幹部だ。最も優秀な人材が主計畑を歩み、事務次官を目指す。主税畑は本省勤務と国税庁勤務を経験して国税庁長官を目指す。金融畑は国際機関などを経験して財務官を目指す。その他は、財務省から出て他省庁で幹部となる。これが過去におけるパターンだった。それは、はたから見れば硬直したものに見えたが、そのルートの中で人材が磨かれ、政治に翻弄されない長期的な展望に立った政策が立案された。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新の政治・社会記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    SMAPはバラバラになっても“別格”だった 解散後も全員が順調に活動しているレアケース

    SMAPはバラバラになっても“別格”だった 解散後も全員が順調に活動しているレアケース

  2. 2
    橋本環奈は恋愛報道での“共演NG”を覆した! 平野紫耀に次ぐ「相棒」は目黒蓮か松村北斗?

    橋本環奈は恋愛報道での“共演NG”を覆した! 平野紫耀に次ぐ「相棒」は目黒蓮か松村北斗?

  3. 3
    山里亮太も加藤浩次も胸中モヤモヤ…「スッキリ」後釜番組にNHK武田真一アナ就任報道の波紋

    山里亮太も加藤浩次も胸中モヤモヤ…「スッキリ」後釜番組にNHK武田真一アナ就任報道の波紋

  4. 4
    火曜夜の恋愛ドラマ対決は大石静「星降る夜に」に軍配? 北川悦吏子ドラマに辛口のナゼ

    火曜夜の恋愛ドラマ対決は大石静「星降る夜に」に軍配? 北川悦吏子ドラマに辛口のナゼ

  5. 5
    山口百恵ちゃんが歌手になったのは…スタ誕の森昌子ちゃんに刺激されたから

    山口百恵ちゃんが歌手になったのは…スタ誕の森昌子ちゃんに刺激されたから

  1. 6
    「ルフィ」と6代目山口組のただならぬ関係…特殊詐欺事件に絡み組事務所ガサ入れの過去

    「ルフィ」と6代目山口組のただならぬ関係…特殊詐欺事件に絡み組事務所ガサ入れの過去

  2. 7
    3大事務所のYGから大量流出 日本市場と“辞めジャニ”を狙う韓国芸能事務所の最新勢力図

    3大事務所のYGから大量流出 日本市場と“辞めジャニ”を狙う韓国芸能事務所の最新勢力図

  3. 8
    黒幕「ルフィ」ワルの履歴書 凶悪犯行手口の“原点”は11年前の札幌強盗事件

    黒幕「ルフィ」ワルの履歴書 凶悪犯行手口の“原点”は11年前の札幌強盗事件

  4. 9
    年金支給額1.9%増は焼け石に水…高齢者の物価上昇率は平均2.5%より過酷、足元では5%に迫る

    年金支給額1.9%増は焼け石に水…高齢者の物価上昇率は平均2.5%より過酷、足元では5%に迫る

  5. 10
    投げた車のキーがカナダ人女性の顔面にグサリ! 嘘のような本当の“事故体験”が大バズり

    投げた車のキーがカナダ人女性の顔面にグサリ! 嘘のような本当の“事故体験”が大バズり