赤木俊夫さん手記の衝撃 このままでは悲劇は繰り返される
故赤木俊夫氏の「手記」の衝撃は筆舌に尽くしがたい。読んで涙が止まらなかったという声は多い。私は、特に官僚制度が崩壊している現実に衝撃を受けた。「手記」によると、財務省理財局長だった佐川宣寿氏から近畿財務局に公文書の改ざんが命じられ、それを赤木氏が担わされる。その後、上司らは栄転し、問題の土地取引に一切関わっていなかった赤木氏だけがその責任を背負わされる状況になる。その精神的な苦痛は想像すらできない。
焦点は佐川氏がなぜ改ざんを指示したのか。政権の中枢から彼に指示が出ていた可能性も否定できないが、仮にそうでなかったとしても、無言の指示が出ていたと考えるのが合理的だ。それが、2014年に安倍政権がつくった内閣人事局の狙いだからだ。官邸の意を受けて動かない役人は能力の有無にかかわらず出世できない。それがこの政権のつくり上げたシステムだ。