YS横浜の有馬監督が語る 選手とスタッフのハングリー精神
14年に創設されたJ3リーグの2シーズン目が終わった。2部に相当するJ2との間には、実力差以上に「恵まれない経営基盤」という大きな壁が存在する。そんなJ3の中で最も厳しい経営環境に置かれているのが、横浜スポーツ&カルチャークラブ(Y.S.C.C.)だ。同クラブのジュニアユース出身で2年間J3で指揮を執り、退任することになった有馬賢二監督(43)に聞いた。
■厳しい経営環境を言い訳にはしない
なぜ財政基盤が苦しいのか。理由は明白だ。
J1やJ2と比べると注目度が低く、スポンサー収入や入場料収入は期待できない。一部の上位チーム以外は、人件費に多くの予算を割く余裕もない。J3は「3人以上のプロ契約選手を保有する」ことが定められているが、プロなのに月数万円、多くても10万円程度しかもらえない選手もいる。当然アルバイトをしなければ生活できず、飲食店などで働きながら選手生活を送っている。
「Y.S.C.C.はもともと“オラが町のクラブ”です。今でもクラブ会員の会費が大きな収入源なのです。チームの練習時間は午前中です。これはJ1、J2と同じなのですが、午後の過ごし方が違います。上位リーグの場合、選手は午後を疲労回復の時間に充てます。しかしY.S.C.C.の選手たちは、練習が終わると仕事です。夜の10時や11時まで働き、翌日の午前中になるとハードな練習をこなす日々です」