著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

スタミナに加えスピード磨く 服部勇馬「福岡国際」Vの価値

公開日: 更新日:

 注目された福岡国際マラソンは、箱根駅伝で活躍した服部勇馬が優勝した。日本歴代8位相当の2時間7分27秒、伝統の舞台での日本選手の優勝は14年ぶりだった。2月の東京で16年ぶりに日本記録を更新した設楽悠太、4月のボストンで31年ぶりに日本人優勝を遂げた川内優輝ら、今回は日本勢中心の大会だったのだから優勝はさておき、日本陸連・瀬古利彦マラソンリーダーら関係者の表情が緩んだことにはワケがある。

 タイムは大迫傑の日本記録(2時間5分50秒)には劣ったが、中身だ。アフリカ勢と睨み合いつつ35キロで抜け出し、そこから3キロの各1キロを2分50秒台に上げ、40キロまで5キロ=14分40秒でトップに立った。東京の設楽は15分11秒、シカゴの大迫は14分43秒だ。

「7月の合宿で井上大仁さんたちの練習を見て自分は甘いと感じ、スピードで追い込まず走り込みを増やした。1キロ=3分を意識しながら出来るだけ長く走り、同じ意識でジョグも増やした」

 スピードマラソンという言葉は“人間機関車”エミール・ザトペックが暴れ回った1952年のヘルシンキ・オリンピックから言われてきたこと。日本が、持久力とスピードの二律背反と悪戦苦闘しながらも、宗兄弟―瀬古―中山竹通とつないで世界の座を維持したのは、圧倒的な走り込みによるスタミナのうえにスピードを磨くトレーニングを積んだからだ。それが、90年代からのケニア参入で旗色が変わった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ