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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

NHK大河「いだてん」のモデル 金栗四三の苦労と功績を知る

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 金栗は熊本県の旧制玉名中学から東京高等師範に進学している。当時、旧制中学や旧制高校に進むのは有産階級の子弟に限られ、東京高師となれば県から1、2人しか進学しないエリートだ。その“選民”がマラソンを礼賛し普及するなど破天荒なことだった。「箱根駅伝70年史」で麻生武治がこう述懐している。

「『おまえは金栗のまねをしちゃいけないよ』って岸先生から釘を刺されたんだ。それで箱根駅伝にも出ようか出まいかと、ハムレットじゃないけれど、ぼくは迷ったよ」

 麻生は第1回箱根駅伝で早大の9区を走り、岸清一は大日本体協の第2代会長、私財をなげうって日本のスポーツ発展に尽力した人物である。

 駅伝の元祖、箱根駅伝は第4回大会から夜間部の学生を排除した。当時の交通の要だった人力車夫が、夜学生となって箱根駅伝に流れ込むのを防いだのだ。というのも、ロードレースに必須な持久力育成には時間が必要で、学生エリートにそんな暇はなかった。一方、車夫や塩田労働者は仕事が即トレーニング。岸清一の言葉は、マラソンが階級的に下に見られていたことの証左であり、そこにこそ金栗が乗り越えなければいけなかった障壁と苦労があったのだ。

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