著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

ウルグアイ率いて30年 名将タバレス監督に感じた思慮深さ

公開日: 更新日:

それでも頼もしい久保建英

 夕方には試合会場のアレナ・ド・グレミオに向かったが、ファベーラ(スラム街)隣接のロケーションには驚かされた。2002年日韓W杯での「大五郎カット」が懐かしいロナウドもファベーラ出身。数多くの選手が貧困をバネに成長してきたブラジルサッカーの源流を垣間見た気がした。

 ピッチ状態が悪く、スタジアムで行われたのは両国公式会見だけ。日本は森保一監督と冨安健洋(シントトロイデン)が出席。ウルグアイの方は72歳のオスカル・タバレス監督とDFホセ・マリア・ヒメネス(アトレチコ・マドリード)が登場して報道陣の質問に答えた。

 4人の中で最も惹きつけられたのは名将・タバレス監督の話。日本戦や今大会のみならず、初めてウルグアイ監督として90年イタリアW杯に出場してから現在に至るまでの約30年間のサッカー界の変化を事細かく丁寧に語ってくれたのだ。

「欧州などでもウルグアイ代表が褒められることがあるが、私は謙虚に受け止めている」

「年を取るたびに思うのが、リーダーシップのある人は自然には出ないということ。次のリーダーを育成していくことはすごく重要だ」

 これはほんの一例だが、タバレス監督の博識で思慮深い人柄が感じられるはず。日頃何かと批判的な報道陣も、会見終了時に思わず拍手喝采を送ってしまうほどだった。名将は深々と頭を下げて会見場を後にしたが、傍らにいたヒメネスの眼差しには尊敬の念が満ち溢れていた。指揮官を中心に強い絆で結びついているウルグアイを若き日本が倒すのは簡単ではない。明日の一戦は厳しい戦いになりそうだ。

 だが、大渋滞を縫って駆け付けた日本の練習場で18歳の久保が「向こうの方がいいチームに所属してる選手は沢山いますけど、サッカーは1人でやるもんじゃない。チームとして上回っていけばいい」と語気を強めたのは頼もしく映った。先発濃厚の三好康児横浜)も「DFゴディンやヒメネス(アトレチコ)のような選手はいるけど、同じピッチに立てば国と国との勝負。特別意識することはない」と自然体を強調。持てる力の全てを出そうとしていた。

 川島永嗣(ストラスブール)も「今の若い世代は堂々とプレーできる選手が多い」と太鼓判を押していたが、その気持ちの強さを今度こそ大舞台で発揮してくれるはず。日本の若い世代が72歳の老将を仰天させる試合運びを見せることを大いに期待したい。

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