“新東洋の魔女”前田悦智子さん 34歳差婚支えた母の言葉

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新事業も大成功

 多くの驚きと祝福を受け、新婚時代は群馬県で過ごした。その1年後には長男が誕生。幸せの最中、田村氏は84年5月に千葉県の館山市で半導体の会社N.M.Bセミコンダクター(田村氏引退後、新日鉄に売却)を立ち上げる。

「当時は三洋電機の専務。次期社長就任が確実視されていたので『このままやれば安泰なのに正気か』という人も大勢いました。確かに事業がつまずけば、生まれたばかりの息子を連れて路頭に迷うことになります。でも、田村は以前から半導体事業をやりたいと言ってたし、この人なら絶対大丈夫だと信じていたので何の心配もなく応援しました」

 通信機器の需要が激増していたことや、バブル経済の勢いも背景にあった。田村氏は76歳で引退するまで約10年間会社の舵取りをし、大成功を収める。

 そして、余生を満喫し2010年、人生に幕を下ろした。

「亡くなる直前の入院生活では若い看護師さんから『いろいろな夫婦を見て結婚に後ろ向きだったけど、笑いの絶えない2人を見て自分も結婚したいと思うようになった』と言ってもらえるくらい最期まで仲良しでした。一生分話したと思いますが、最初の2年はつらくて眠れなかった。でも、困ったり悩んだときは田村ならどうするか、と考えたらすぐ解決するんです。改めて凄い人だなと日々実感しています」

■前妻家族とも関係良好

 田村氏の前妻の子や孫とも関係は良好で、夏と冬は館山の豪邸に集まってくるという。「だからひ孫もいるんですよ」と笑う前田さんは現在、館山市で館山スポーツ大使として市のPRや地域スポーツの活性化に精を出している。

(月曜は00年シドニー五輪シンクロ銀メダルの巽樹理さん)

▽たむら(旧姓まえだ)・えちこ 1952年1月31日、東京都大田区生まれ。76年モントリオール五輪優勝。引退後は所属会社・三洋電機で秘書となる。退職後は美容サロンの経営。82年結婚。現在は千葉県館山市で館山スポーツ大使を務める。

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