プロ野球キャンプに重圧…集団感染が五輪中止の決定打に

公開日: 更新日:

ワクチン巡る国内外の諸問題

 コロナ禍は依然として、国内外のスポーツイベントの大きな障壁になっている。例えばテニス錦織圭は全豪オープン(2月8日開幕)に出場するため、米国のロサンゼルス発の飛行機で豪州入りしたが、同乗者から感染者が出たため、ホテルでの隔離生活を強いられている。錦織以外の選手が乗ったアブダビ発の便でも感染者が出た。国境を越えた移動は、それだけ感染リスクが高く、感染者が出た場合の対応の難しさが改めて証明されたわけだ。

 感染拡大を防ぎ、五輪を開催するための「切り札」といわれるワクチンに関しても、世界中でさまざまな問題が噴出している。

 米国では、昨年末までに2000万人のワクチン接種を目標としていたが、今月13日時点でようやく1000万人を突破。米ワシントン・ポスト紙は先日、米国内においてワクチンの政府備蓄が既に底を突いている恐れがあると報じた。主要なワクチン供給国の米国ですら、この状態。国によってワクチン入手に格差が生じている、との指摘もある。開発されたワクチンが、世界中で蔓延しつつある変異種にも対応するかどうかさえ、ハッキリとわかっていない。

 日本においても、「ワクチンは感染拡大の決め手」と言う菅首相は、2月下旬までにワクチン接種の準備をするとし、いわゆる「ワクチン担当相」に河野規制改革相を指名した。ところが、昨19日、加藤官房長官は東京五輪に関して、「ワクチンの接種を前提としなくても安心安全な大会を開催できるよう、感染症対策を検討している」と発言。「ワクチンなどいらない」と言わんばかりだった。橋本五輪相も12日に同様の話をしていた。前出の谷口氏がこう指摘する。

「菅首相は施政方針演説で『五輪はコロナに打ち勝った証し』などとのんきなことを言っていた。政府や組織委は『コロナに打ち勝つ』とか『万全の体制で』と判で押したように言うが、何をもってしてコロナに打ち勝ったと言えるのか。万全な体制と言えるのか。発言はすべて五輪開催ありきの幻想と言うしかない」

 ただでさえ開催への悲観論が渦巻く中、プロ野球キャンプでドタバタが起きるようなら、東京五輪中止の決定打になりそうだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う