著者のコラム一覧
権藤博野球評論家

1938年12月2日、佐賀県鳥栖市生まれ。鳥栖高からブリヂストンタイヤを経て61年に中日入り。1年目に35勝19敗、防御率1.70という驚異的な成績を挙げ、最多勝や沢村賞などタイトルを総ナメに。連投に連投を重ねる姿に「権藤、権藤、雨、権藤」の流行語が生まれた。68年に現役引退後は各球団の投手コーチを歴任。横浜で初の監督に就任した98年にはいきなりペナントを制し、38年ぶりの日本一に導いた。

田中将の楽天復帰が決定…脱スプリットで“原点回帰”なるか

公開日: 更新日:

 例えば2013年、24勝0敗と圧倒的な成績を残した楽天最終年だが、あるデータによれば、全投球における変化球の割合はスライダーが約24%だったのに対し、スプリットは18%。この比率がメジャーに行って逆転した。

■スプリットという「麻薬」

 ヤンキースでは、直球の割合をスプリットが上回ることさえあった。スプリットは「麻薬」のようなものだ。特に、肩や肘に負担がかかると敬遠されるメジャーでは投げ手が少なく、それだけに向こうの打者に対しては威力が増す。投手からすれば、日本以上に簡単に空振りが取れるから、どうしてもこれに頼り過ぎてしまう。

 しかし、コントロールしにくい球種で、低めに落ちてくれれば三振を取れるものの、高めに浮けば一発長打を食らう。諸刃の剣と分かっていても、決まったときの効果が絶大だから、やめられない。「麻薬」と言うのは、そういう意味である。

 エンゼルスの大谷翔平もそうだ。2人はともに右肘を故障した。スプリットが特段、肩肘に負担がかかるとは思っていないが、スライダーとは違って高校時代から投げ慣れていた球種ではないだけに、異常を来す遠因になった可能性はある。

 楽天に戻ってくるのだから、メジャー挑戦前の投球を取り戻す、いい機会である。本来の武器であるストレートとスライダーにもう一度、磨きをかける。原点回帰は、日本に残ろうが米国に戻ろうが、長くマウンドに立ち続けるためにマイナスになることはない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発