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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

中止ではなく返上しか…東京五輪に選手支える情熱はあるか

公開日: 更新日:

 週末、久々に谷中に出掛けたら、かなりの人出だった。桜の枝頭も膨らんで、これから一層賑やかになりそうだ。大丈夫だろうか……東京オリンピック。

■中止ではなく返上

 来週、“何らか”の発表がなされるというが、観客制限に関するものだろう。開催は決まっている、というか、オリンピックを開くかどうかを決めるのはIOCで、日本には中止ではなく返上の選択肢しかない。1940年に次いで2度目の返上の決断は難しい。それでも、国民の命とどちらが大事かは火を見るより明らかだが。

 返上すれば、IOCは別の選択肢を追求する。それがオリンピックの汎世界主義の理念で、金の亡者とか放映料欲しさとの指摘は的外れだ。収益は競技団体に分配され、各競技の世界普及の原資になっている。

 スポーツが思想、人種、性差を超えて発展したのはこのオリンピック理念による。日本の招致動機は経済などの付帯効果にあったから、急場に改めて理念を突き付けられて身動きできなくなった。

 過去にも災害で返上された例はあって、1908年の第4回ロンドン大会は、ローマで行われるはずだった。2年前にベスビオ火山が噴火し、イタリア政府が壊滅的被害を受けたナポリ再興のため開催を断り、ロンドンはそこから準備した。

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