著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

大坂なおみの全仏OP棄権の裏で進むテニス界の「地殻変動」

公開日: 更新日:

 今回の全仏は、第2シードの大坂なおみの会見拒否に端を発して2回戦で棄権という騒ぎに発展した。うつ病(うつ状態)と言われるが、正式な診断書は出ていないようなので、問題は試合後に義務化されている記者会見の是非だろう。ツアーの仕組みがよく理解されずに議論されているようだ。

■選手は運営者

 テニスの世界ツアーを主催する男子のATP、女子のWTA組織は選手組合なのだ。WTAは、日本でキング夫人の名で知られるビリー・ジーン・キングを中心に75年に男女の賞金格差解消を訴えて結成された。現在は構造が複雑になったが考え方は同じで、選手(組合員)は出場者であり大会運営者でもある。

 4大大会の賞金格差は2007年に解消され、WTAの賞金総額はむしろ男子を上回り、年間1億7900万ドル(約200億円=19年実績)。コロナ禍の中、テニス界は他競技に先駆け必死にこの膨大なマーケットを立て直そうとしている。全豪前、錦織圭や大坂なおみが15日間の軟禁生活に耐えたのは、彼らがただの賞金稼ぎではなく組合員、運営者でもあるからだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり