武田薫
著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「人をつなぐマラソン」の季節に…北秋田はなぜか好選手を輩出している

公開日: 更新日:

 天高くジョギングにはもってこいの季節になった。軒並み中止されていた各地のマラソン大会がポスト・コロナへ準備を始めている。懐かしい人に会った。

 マラソンファンに、村尾愼悦という名を記憶する人はどれくらいいるだろうか。早大競走部からヱスビー食品陸上部まで中村清の右腕として働いた辣腕マネジャー、瀬古利彦の縁の下の力持ちだ。現在は香港陸上競技連盟の招聘コーチで、過去にはミャンマー、韓国でもマラソンを指導してきた。

 中村清が釣行中に他界したのは1985年5月。前年のロサンゼルスオリンピックで惨敗した瀬古は、恩師亡き後に世界で連戦連勝。同僚の新宅雅也も88年ソウル大会でマラソン代表になり、3000メートル障害(モスクワ)、1万メートル(ロス)に続き3種目代表という記録を残した。師の急逝で路頭に迷ったのが村尾と、ケニアから来日3年目のダグラス・ワキウリだった。

■瀬古の宿敵にすがる

 2人は手探りでマラソンを目指した。当時のケニアはトラック一辺倒でマラソンは穴場。転機は87年の別府大分マラソンだ。ワキウリは6位に入ってその年の世界陸上の標準記録を突破したのだが、同じ中村門下でワキウリと同部屋だった金哲彦が3位で新人賞。金は中村を離れ、独り研鑽していた。この“敗北”に村尾は意を決し、その足で延岡に向かった。瀬古の宿敵だった旭化成の宗兄弟にアドバイスを求めた。必死だったのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

  2. 2
    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

  3. 3
    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

  4. 4
    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

  5. 5
    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

  1. 6
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7
    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

  3. 8
    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

  4. 9
    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

  5. 10
    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず

    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず