FA申請期間始まるも巨人に音なしの不気味…11球団は“真打ち”の「後出しじゃんけん」猛警戒

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 本当に巨人は取りにいかないのかーー。

 日本野球機構は14日、FA有資格者として97選手を公示した。今季、国内FAの資格を得たのは計23人。広島・大瀬良、DeNA・宮崎らは国内FA権を行使せずに残留を決めている。申請期間は29日から。土、日、祝日を除く7日以内に在籍球団に意思を伝えることになっている。

中日・又吉は宣言決意

 市場の目玉になりそうなのが、FA権を行使する意向であることが明らかになった中日・又吉克樹投手(31)だ。

 8年目の今季は、チーム最多の66試合に登板し、3勝2敗8セーブ、33ホールド、防御率1.28。1年目から67試合に登板するなど、プロ8年で5度の50試合登板を果たしており、最終戦の10月26日の阪神戦で通算400試合登板を達成。絶対的セットアッパーとして君臨した。

 そんなタフネス右腕の獲得調査を進めているのが、パ・リーグを制したオリックスだ。補強ポイントのひとつがリリーフ陣の整備。今季は抑えの平野佳以外の勝ち試合の継投パターンが確立できず、セットアッパーのヒギンスの去就も流動的。ヤクルトに2勝4敗で敗れた日本シリーズでも、救援陣が勝ち越しを許す場面が目立った。

 さらに8年ぶりにAクラスを逃し、4位に沈んだソフトバンク、セではヤクルトとゲーム差なしの2位に終わり、救援陣の再整備を狙う阪神、最下位DeNAも調査を進めているため、争奪戦の様相を呈している。

「FAしたら参加するのがジャイアンツ」

 そんな中、不気味なほど静かなのが“真打ち”巨人である。さる球界関係者がこう言う。

「12選手を一気に育成契約に変更したり、一時は陽岱鋼とも再契約の姿勢を見せた。明らかにFA補強後の人的補償対策と誰もが見ていた。原監督は『FAしたら参加するのがジャイアンツだ』と言い続けてきた。2年前には『そうしないとFAがダメになる。(候補が何人かいたら)誰かには参戦する。FAで手を挙げたら、ちゃんと価値ある人に話をしていく。こちらの意見を聞いてもらう。そういうのは大事なこと』と力説していたが、原監督の意向が変わったわけではなく、長引くコロナ禍によって収入が激減している球団側がストップをかけているともっぱら。ただし、新たに3年契約を結んだ原監督は、変わらず全権を持つ。又吉は補償が必要になるBランクとはいえ、今季年俸は4200万円と格安で、仮に昨オフFAで獲得した井納の2年2億円ほどで済むなら、原監督の意向をくんで一転、手を挙げる可能性は否定できません」

 阪神など他球団はそんな巨人の参戦を警戒しているという。かつてFA戦線で「後出しじゃんけん」が成功した“前科”があるからだ。先日5年総額15億円の大型契約が切れた途端、自由契約を申し出たという陽を日本ハムから獲得した2016年オフのことである。

「この年、陽は日本シリーズ後の11月7日にFA宣言。オリックス、楽天が獲得に手を挙げる中、静かだった巨人が突如、獲得に乗り出したのは、1カ月後の12月4日だった。ただし、他球団の条件が出揃った11月末から水面下でオファーを行っていたそうで、当初は3年総額10億円ほどの条件を提示していた。最終的に5年総額15億円まで引き上げたことで、獲得に成功した例があります」(前出の関係者)

虎指揮官は「来年も一番レギュラーに近いのは梅野」と

 もうひとり、もしFA宣言を決断すれば、野手の目玉になりそうなのが阪神・梅野隆太郎捕手(30)だ。

 18年から3年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得。今季は東京五輪侍ジャパンのメンバーに追加招集され、金メダル獲得に貢献した。レギュラーシーズンでも130試合に出場。8年目の今季は単年契約だった。

「16年ぶりのリーグ優勝を目指していたシーズン最終盤になると、矢野監督から干された。10月12日の巨人戦以降、11試合連続で坂本に先発マスクを譲ったのです。負けてV逸が決まった同26日の最終戦・中日戦も最後まで出番がなかった。巨人とのCSファーストステージ2戦目で約4週間ぶりにスタメン出場したが、敗れて終戦。矢野監督は現役時代の05年にFA権を行使して残留した。『周りの評価を聞きたいのは自然なこと』と言っているが、2人の間には明らかに溝ができていて、ギリギリまで熟考する可能性もあります」(在阪の球界関係者)

 捕手としての高い守備能力は折り紙付き。捕球技術、ブロッキング能力が高く、新人時代の14年には捕逸ゼロをマーク。強肩と正確な送球は「バズーカ」と称される。19年には捕手でNPB歴代最高の123捕殺を記録した。そんな正捕手をシーズン最終盤で使わなかった矢野監督は去る26日、サンテレビ「熱血! タイガース党」に出演。「ボクが監督になってからもリュウが一番(試合に)出てますし、来年も一番レギュラーに近いのは梅野に変わりはない」と発言。一見、評価をしているように聞こえはするが、実際はレギュラーとして認めていないと言ったようなもの。秘蔵っ子の坂本を正捕手として使いたい本音が透けて見え、これが梅野の決断を後押しする決定打となるかもしれない。

「今季の巨人は打撃力が高い大城を正捕手にするべくスタートした。それなのに、リード面を含めた守備面を疑問視するようになった原監督は、勝負どころの9月に入ると6試合連続でスタメンから外した。10月5日のヤクルト戦は一塁で先発。これこそが原監督の来季の構想で、本音は一塁で使って打撃に専念させたい。元正捕手の小林はさらに苦しい。16年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマークしたが、19年は92試合、昨年は左尺骨骨折で長期離脱するなど自己ワーストの10試合の出場に終わった。今季は64試合で打率.093。ほとんど構想外となっています。巨人-阪神間は過去に数例しかない“禁断の移籍”とされる。梅野が巨人に移籍する胆力があるかは別として、原監督からすれば、喉から手が出るほど欲しい正捕手候補なのは間違いありません」(巨人OB)

 巨人は例年通り、主役になるのかーー。いよいよストーブリーグが幕を開ける。

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