著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

資金力と勝敗は永遠の課題 今季リーグ優勝決定戦に出場した4球団中3球団が金満だったが…

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 実際、成績が良ければ収入の根幹であるシーズン入場券の予約販売数の増加をもたらし、さらには企業によるスポンサー契約や広告の出稿も増える。こうして手にした資金でさらに優れた選手を高額の契約で招き入れたり、設備の充実や選手の育成などに投下したりすることができるのだから、成績と収入の好循環がさらなる勝利をもたらすと考えることは当然かもしれない。

 その一方で、昨季のレンジャーズ、22年のアストロズ、21年のブレーブスなど、球団別の年俸総額の上位5傑に入らない球団が大リーグの頂点に立っていることを考えれば、年俸総額が最後の勝利に直結するわけではないという議論にも説得力を与える。この場合、重要なのはゼネラルマネジャーや監督の手腕を最大限発揮することで、選手の持つ能力を可能な限り引き出すことである。

 00年から03年までのアスレチックスのように年俸総額は下位ながら4年連続ポストシーズンへの進出を可能にしたことなどは、金銭の不足を人間の知恵で補うことに成功したことを示している。

 それでも、得意としたデータ重視の野球が普及したことで他球団に対するアスレチックスの強みが失われ、近年は成績不振による観客の減少に直面し、最終的に本拠地の移転へと発展した。財政基盤の強弱と勝敗の関係は、これからもスポーツ界にとって永遠の課題なのである。

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