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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

日本陸連の呆れた体質…競歩・池田向希の「濡れ衣ドーピング処分」にまるで他人事

公開日: 更新日:

 東洋大出身の池田は旭化成に入ってから単独で練習してきた。血液ドーピングは技術的に無理、合法の高地トレも低酸素室もほとんど使っていない……では、なぜ数値が出たか?

 トップ選手は各自の血液データを集積した「生体パスポート」を持ち、世界反ドーピング機関(WADA)の検査を頻繁に受けている。その数値を基にAIUが裁定-異議申し立て-審査。広範なスポーツ普及から、疑わしきを罰する仕組みは理解できるが、同時に、パスポートは体質など個体差まで反映せず完全ではない。原因が分からないケースは多く、調査には時間と莫大な費用がかかる。

 そもそも世界陸連は長距離、ロードレースに冷淡だ。日本陸連ですらマラソン強化に乗り出したのは64年東京五輪からの“後だしジャンケン”で、マラソンが衰退すると競歩を国技と言いだした。お家芸を説くなら、MGCシリーズなど金儲けばかり考えず、選手の名誉維持に必死に取り組むのが筋だろう。現実問題、池田の処分を2年に短縮させるしか道はない。

 海外から見れば所属企業は一スポンサーに過ぎない。選手をよく知る陸連が強く主張すればWAも振り向くだろう。なのに「所属する旭化成からのリリース資料をご参照いただきますようお願いします」とまるで他人事。9月には東京で世界陸上がある。メダルだ、競歩だと煽るだけの“いいとこどり”では、選手もやってられない。

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