元小結・臥牙丸さんは5年前に引退しすっかりスリムに…故国ジョージアにタイヤを輸出する事業を始めていた

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子どもには勉強させたい。スポーツもいいけど、社会に出てから大変だから

「引退してまもなく、株式会社ジェオマルを立ち上げ、この仕事を始めました。たまたま知り合った小山の方が、安く土地を貸してくれたので、小山と東京にそれぞれ家を持ち、奥さんと一緒に行ったり来たりしながら、やっています。まあ、商売はボチボチです。ただ、9月に赤ちゃんが生まれるから、これからは頻繁に行ったり来たりできない。どうしようか、考えているところです」

 初めての子どもは、女の子だそうだ。

「もともと子どもが好きだから、パパになることにドキドキしています(笑)。夢中になりそう。人生が99.9%変わると思う。子どもには、スポーツをしても勉強もするようにと言って育てたい。スポーツで食えても、終わりが必ずくる。勉強してないと、その後が大変と実感しています」

 引退してから、苦労があったようだ。

「何もわからず社会に出たから、ね。いまの車の仕事は趣味の延長のような感じで、そんなに力を入れてない。YouTube『ガガちゃんねる』も始めて、登録者数が8万人。よく『見てます』と声をかけてもらえるけど、これももうけようと思ってない。8月から、訪日外国人に日本を楽しんでもらう観光事業を始めたい。そして、引退した力士のセカンドキャリアを助ける仕事をしたい。そういう人に喜んでもらえる仕事をがんばりたいんです」

 さて、ジョージア出身の臥牙丸さんは、2005年に初土俵を踏むと、序ノ口、幕下、十両で優勝。200キロ超の巨体を生かし、11、12年と敢闘賞を受賞し、12年3月場所で小結に昇進するなど活躍。愛嬌ある巨漢として人気者だった。

「来日したとき、小結を目標にしていました。目標をかなえて故郷の家族をはじめみんなに喜んでもらえて、幸せを与えられてうれしかった。力士になって良かったことばかり。生まれ変わっても相撲をやりたいと思っています。だけど、11年か12年の大阪場所で2000万円稼いだのに、新地で使いすぎて東京へ帰るときに通帳を見たら、マイナス100万円……。算数の勉強、もっとしとくべきだった(笑)」

 13日から始まる7月場所は、大の里の活躍に期待が集まる。

「彼は力士としてバランスのいい理想的な体をしている。そのうえ、体のつくり方のうまい二所ノ関部屋所属と環境もいい。横綱になって初めての場所だから、地元のイベントとか本業以外のことがたくさんあるので、十分な休養がとれるかどうか。でも、彼なら大丈夫でしょう!」

 (取材・文=中野裕子)

◇臥牙丸勝(ががまる・まさる) 1987年、ジョージア・トビリシ市生まれ。本名:ジュゲリ・テイムラズ。6歳から柔道とソ連発の格闘技・サンボの道場に通い選手として活躍。18歳のとき、東京で開かれた世界ジュニア相撲選手権大会無差別級3位になったことがきっかけで、2005年に木瀬部屋入り。同年、初土俵を踏み10年新入幕。敢闘賞2回と金星1回。最高位は小結。20年引退。

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