無口な秋山幸二さんの「ああ」は否定、OKなら「わかった」…知らなきゃ分かりません
2度目は指導者として2005、06年の二軍監督時代です。03、04年に二軍監督を務めた森脇浩司さんが、それまで午後には終わっていた二軍の練習時間を夜まで伸ばしたことは前回お話しした通り。秋山さんもそれを継承し、さらに打者の長所を伸ばす指導にも熱を入れていました。朝から練習を始め、夕方、影が長くなり、ナイター照明をつけてもまだ終わらない。秋山さん自身、西武時代は打撃の何かを掴むため、深夜1時にマシン打撃をしていたこともあったというのだから、「必要ならやって当然」という考えです。
自ら打撃投手を買って出ることもありましたが、「これじゃないとダメなんだよなあ」と、スパイクを履いて投げていました。
選手としてはナインに「強いチームの選手とはこういうものだ」と背中でメッセージを送り、二軍監督としては徹底的に若手を鍛える。その集大成が11年の日本一でした。
性格面で言えば、口数が少ないのは、ファンのご存じの通り。面倒見のいい部分もあり、ルーキー野手を「ミーティング」という名目で、食事に連れていくことも何度かありました。行き先はいつも焼き肉屋。「体力が落ちてきたら肉を食え。スタミナは肉でしかつかない」というのが、秋山さんの持論です。もっとも、焼き肉でも高級店ではなく、意外とホルモンとか庶民的な焼き肉も好んでいました。