真中満の要領の良さは天下一品だった。付き合い居残りは一切せず、誰が残っていようがさっさと帰った
もちろん、出番を奪われる悔しさはあったものの、その頃には「チームが勝てば何でもいい」と思うような年齢でしたからね。それでも真中がいなければ、2000安打を打てたかも……なんて思わなかったわけでもない。僕は1248本で引退しています。
真中にとって、若松さんは自分を抜擢してくれた恩師。2015年に彼が監督就任1年目で優勝した際、若松さんの「ファンの皆さま、優勝おめでとうございます」という言葉を引用したのも、それだけ慕っていたからです。
レギュラーを取られて悔しいと思う半面、真中の打撃センスは認めざるを得ませんでした。ミートがうまく、三振が少ない。相手投手の研究も熱心に行っていた。スタメンで活躍した時期は長くはありませんでしたが、後年は代打の切り札としてファンの期待に応え続けたのも、研究の成果、それとスイングの思い切りの良さです。正直、僕も彼の打撃に何度、舌を巻いたことか。
性格面で言えば頭の回転が速いので、しゃべりが面白く、ユーモアがある。15年のドラフトでは外れクジを引いたのに気付かず、ガッツポーズを見せるなど大喜び。本人は「いや、ハズレとわかったときはビビりましたよ」と話していましたが、今ではそれをネタに笑いを取っています。