「伊東正義」国正武重氏

公開日: 更新日:

 1989年、リクルート事件で竹下登首相が退陣に追い込まれると、後継首相として伊東正義総務会長(当時)に白羽の矢が立った。しかし、伊東は「表紙だけ変えてもダメ」と拒絶する。総理の椅子を蹴ったのは後にも先にも、この人ぐらいだろう。その生きざまに迫ったのが本書だ。著者は伊東に最も信頼されていた元朝日新聞記者である。

「伊東さんは官房長官、外相を務め、ポスト竹下に推された政治家なのに、清貧の人でした。東京・世田谷の私邸は50坪ほどで、赤茶けたサビだらけのトタン屋根の家。会津若松の自宅事務所も同様です。閣僚時代も政治資金パーティーを一切開かず、金のかからない、かけない政治を貫いたのです」

 だからこそ、リクルート事件のときに、自民党はこの人を表紙にして、ごまかそうとしたわけだが、説得に失敗し、その後、自民党は転落する。

「なぜ、自民単独政権は崩壊したのか。いみじくも伊東氏が拒否の理由にしたように、“表紙だけ変えてもダメ”なんですよ。自民党は政治とカネの問題で崩れたんです。ところが、今の自民党はそれをすっかり忘れている。徳洲会事件など金絡みのスキャンダルは後を絶たないし、政党助成金をもらいながら、政治資金パーティーに明け暮れている。今の政治家にこそ、伊東さんの生きざまを読んで欲しいと思います」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る