大人の男旅本特集

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「行ってはいけない世界遺産」花霞和彦著

 さあ、いよいよシルバーウイークに突入したが、世間の浮かれ気分を横目に自宅で過ごす予定の人も多いことだろう。そんな人のために少しでも旅気分を味わってほしいと、旅関係の本を紹介する。次の機会の予定を練る参考に、そして書斎での妄想旅のお供にも、お薦めの4冊だ。

 海外旅行は、そう気軽にちょくちょく出かけられるモノでないがゆえに、行き先選びは慎重になり、つい無難な世界遺産を盛り込んだコースや、オプショナルツアーを選びがちである。

 しかし、これまで世界60余カ国、200件近くの世界遺産を訪ね歩いてきた著者は、必ずしも「世界遺産=観光名所」とは限らないという。そんな氏が、観光客目線で超有名な世界遺産20件にダメ出しをする異色ガイドブック。

 例えばイギリス南部ソールズベリー近郊にある古代の環状列石「ストーンヘンジ」。1986年の世界遺産登録以前から「中世の世界七不思議」のひとつとしてメジャーな遺跡だが、14ポンドの入場料を払わずとも車道から丸見えで、たとえ入場料を払って敷地に入っても石積みには近寄れず、遠巻きに眺めるだけ。おまけに巨石といわれる石もそれほど大きくはなく、ときめき感がない、と身もふたもない評価。

 同じ世界七不思議かつ世界遺産なら「万里の長城」やローマの「コロッセオ」の方が期待を裏切らないと代替案も提示する。

 アメリカ旅行の定番「グランドキャニオン」も、到着直後はその雄大な景色に感動するものの「どこを見ても同じような絶壁だらけの景観に、ものの5分で飽きた」と、パワースポット「セドナ」など周辺の有名スポットを組み合わせて回ることをお薦めする。

 もちろん、旅にはそれぞれの楽しみ方があるので、著者も絶対に「行ってはいけない」と言っているのではない。例えば、かの有名なフランスの「モンサンミシェル」の場合は、確かに修道院もいまひとつ見応えに欠けると辛口だが、標的にされたのは名物のご当地グルメのオムレツだ。その発祥の店という有名店では、卵3個ほどのオムレツが50ユーロ、有料の水やチップを合わせると1万円もするが、無味でお世辞にもおいしいとは言えないという。ゆえに、ここは「ご当地グルメに目がない人は行ってはいけない」と警告する。

 他にも、「体調が悪いときに行ってはいけない」ナスカの地上絵や、「夏に行ってはいけない」カンボジアのアンコール遺跡など、それぞれ「行ってはいけない」理由があり、その条件を外せばお薦め度が高い場所もある。

 しかし、中には南アフリカの「人類化石遺跡群」のように、何から何まで命がけで、「考古学者でなければ行ってはいけない」世界遺産もある。

 行ってはいけないと言われるとついつい行ってみたくなるのが人の常。あれこれと眺めているうちに、実際に自分の目で確かめたくなってくるから厄介だ。

 あとがきで著者は、現時点で「いちばん良かった国」だというヨルダンの「ペトラ」や南米ベネズエラの奥地にある地球最後の秘境「カナイマ国立公園」など「死ぬまでに絶対に行くべき世界遺産」5件も紹介。

「行ってはいけない」か「行くべき」か。さて、どちらに行こうか。(CCCメディアハウス 1300円+税)

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