「十字架の王女 特殊捜査班カルテット3」大沢在昌氏

公開日: 更新日:

 カルテット、つまりもうひとり主要人物がいる。車椅子の警視正・クチナワだ。特殊捜査を命ずるが、チームは誰一人として彼を信用していない。

「若者は大人に頼っちゃったりするからね。頼っちゃダメなんだよ。信用できない腹黒い大人相手に、彼らが成長できる物語として完結編に持っていったつもりです。今の若い人でこんなにエネルギーあるヤツいるかと思うけれど、2割くらいは熱いヤツもいるんです。熱いヤツと会うとなんだかホッとしません?」

 ただし、若者の友情と成長物語だけでは終わらない。完結編には、ある「密約」を巡る壮絶な争いが描かれている。巨悪絡みの大団円は大沢作品の本領発揮、アクション映画のような迫力がある。

「密約に関しては史実に多少近いものがあるんですよね。それをヒントに、現代日本を取り巻く社会情勢を絡めて、でっちあげてみました(笑い)」

 シリーズ初作「渋谷デッドエンド」(「生贄のマチ」に改題)から張られていた伏線も、カスミが抱える謎も、本作で納得の結末へと導かれていく。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動