「宇宙画の150年史」ロン・ミラー著 日暮雅通、山田和子訳

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 宇宙飛行士たちが気軽に窓外の風景をSNSに投稿したり、宇宙探査機が遠い惑星の映像を地球に送り届けてくる時代、現代人にとって宇宙は、もはや未知の世界ではなくなりつつある。しかし、天体望遠鏡や宇宙船が登場する以前の人類にとって、そこは空想するしかない世界だった。本書は、宇宙をテーマにした絵画やイラストの歴史をたどりながら、これまで人類は宇宙をどのように描いてきたのかを紹介する豪華ビジュアルブック。

 宇宙飛行や地球の大気圏外の状況をリアルに描こうとした最初の試みは、1865年に刊行されたフランス人作家ジュール・ベルヌの「月世界旅行」の挿絵だった。

 同じ作者の「彗星飛行」(1877年)には、P・フィリッポトーの筆による飛翔する小惑星から見た木星とその衛星群や絵画としては初めての試みと思われる「土星から見た環」などの挿絵が掲載されており、これらは宇宙画の嚆矢といえるという。

 なぜなら、ベルヌの小説とその挿絵から、当時の人々は土星がどのようなところかを知り、宇宙は人類にとってリアルな領域となったからだ。

 科学的正確さと芸術としての宇宙画を一体化させた最初の画家は、フランスのリシュアン・ルドー(1874~1947)。天文学者でもあるルドーの代表作の豪華本「別世界について」(1928年)に収録された図版には、それまで誰も見たことがない太陽系の姿がまるでNASAの画像をもとに描いたように表現されている。

 ルドーを宇宙画の祖父とするなら、父と呼ぶにふさわしいのが、チェスリー・ボーンステル(1888~1986)だという。

 雑誌が企画した宇宙開発計画案の策定に参加して彼が描いた人工衛星や未来の宇宙船などの絵は、まるで写真のようにリアルかつ創造性に満ちており、彼の図像がなければ「NASAの時代の到来は何年も遅れていたかもしれない」と言われているのも納得する。

 想像で描かれてきた宇宙画は、やがて現代宇宙画の第一人者リネット・クックの作品のように、最新の研究成果をもとに描かれるようになる。一方で、いまだに空想の世界にあるスペースコロニーや宇宙都市を描いた作品や、SF、そしてエイリアンなど、さまざまなテーマで描かれてきた宇宙画の足跡を320点以上もの作品でたどる。

 木炭画からデジタル作品へと、その技法は移り変わりながらも、宇宙への憧れに突き動かされながら描かれた作品の数々は、懐かしさを感じさせるとともに、知れば知るほど不思議が尽きない宇宙へのさらなる好奇心をかき立てる。(河出書房新社 3800円+税)



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