「ご先祖様、ただいま捜索中! あなたのルーツもたどれます」丸山学氏

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 自分の先祖をどこまで把握しているだろうか。せいぜい曽祖父母あたりの人がほとんどではないだろうか。

「先祖調査の依頼は主に40~60代で、親が亡くなったことがきっかけという方が多いですね。でも、なぜ先祖を探そうと思ったのかはうまく説明できず、漠然としています。たぶん、自分のルーツをたどりたいという思いは、本能的というか根源的なものだからではないかと思うんです」

 実際の調査は、気が遠くなるような作業だ。明治時代までの戸籍は誰にでもとれるが、江戸時代以前までさかのぼりたい場合は、その地域での聞き取り取材や古文書の解読も必須となる。実は、武士よりも農民のほうが先祖をたどりやすいケースも多いという。

「例えば、藩の家臣名簿である『分限帳』は今でいう給与台帳ですが、藩直属の家臣は載っていても、家臣の家臣(陪臣)は藩から給金をもらっていないので、載っていないんです。たとえ武士でも、実態がわからないことが多いんですよ」

 一方、農民の場合はその村に記録が残っていることが多々あるという。

「江戸時代、庄屋や名主と呼ばれる家の人が記録して保管しているものです。田畑を調べた『検地帳』や、村の全世帯の家族構成を書き出した『人別帳』があれば、かなり探しやすくなります。ただ、戦災や水害で紛失したり、実用性のない古文書は捨てられたり、襖紙として貼られちゃったりもします(笑い)。村にきちょうめんな人がいてくれれば、というところもあるので、運次第ですね」

 今は個人情報保護に関して厳しい時代だ。調査には想像を絶する苦労もある。

「怪しまれて、新手の詐欺と勘違いされることはしょっちゅうですよ。それでもやりがいはあります。日本の歴史が動くような大発見はないけれど、忘れ去られていた人が家系図に加わり、子孫に名を知られるのは不思議な感動があるんです。私が家系図作成を専業にしたのは意外と需要があること、その結果、他の業務ができなくなったから。でも、その家の歴史をひもとき、ご先祖様の暮らしぶりや背景を依頼者に報告できるときが単純に楽しいんですよね」

 本書では、先祖探しの実例を紹介しつつ、基本的なハウツーも教えてくれる。平成の今、やっておくべきことは、明治時代の戸籍をとっておくことだ。

「法律では150年で古い戸籍は廃棄されてしまいます。明治以前につながる懸け橋ですから、本籍地の役所で取得しておくことをおすすめします。あとは家系図や大切な記録は恭しい箱に入れたり、立派な巻物にしておけば、捨てられにくくなります。パソコンは自分が死んだらそのまま廃棄されてしまいますからね。古い家の蔵にはお宝が眠っているといわれていますが、断捨離ブームでこうした貴重な資料は危機的状況です。捨てる前によく見てください。古文書として、価値の高いものかもしれませんよ」(中央公論新社 820円+税)

▽まるやま・まなぶ 1967年、埼玉県生まれ。行政書士。民間企業勤務を経て、2001年に行政書士事務所開業。自らの先祖を900年たどったことを機に、家系図作成専門に業務を絞る。年間80件以上の先祖探しを請け負う。先祖調査のハウツー本執筆も数多く手掛ける。「1000年たどる家系図の作り方」http://www.5senzo.net/

【連載】著者インタビュー

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