「牙王物語」戸川幸夫著
大雪山の麓の上川町にやってきた「東京サーカス」に飼われていたヨーロッパオオカミの雌レッド・デビル。体の中の狼の血が騒ぎ、ある日、訓練士の助手を襲って逃げ出した。日高牧場で飼われていた北海道犬と樺太犬の混血の雄テツと山中で出あい、その子を産む。5匹の子犬の中でいちばん大きいキバはある日、人殺しのヒグマ「片目のゴン」に襲われ、忠別川に飛び込む。川に流され、死にかけていたキバを助けてくれたのは、日高牧場の娘、早苗だった。キバは牧場で飼われるが、やがて可愛がってくれた早苗に危機が迫る。
1956年に毎日新聞に連載され、後に「週刊少年マガジン」で漫画化もされた動物文学の傑作「山のキバ王」の新装合本版。
(新評論 1800円+税)