「死美人」黒岩涙香文 江戸川乱歩訳
深夜にパリを巡回していた2人の警官は、横町から重そうなトランクを背負った男が出てくるのを見た。泥棒ではないかと分署に連行し、トランクを開けてみたら、絶世の美女の死体が……。その胸に突き刺さった短刀の根元には、スペードの女王のカードが刺し通されていた。トランクを背負っていた男は口がきけず、死体が入っていたことも知らない様子だった。
署長は名探偵ルコックに調査を依頼する。男を釈放して後をつけると、しゃれた家に入っていく。その家には紳士の死体が転がっていた。
フランスの作家ガボリオが生んだ名探偵ルコックの晩年を描いたボアゴペーの名作を、黒岩涙香が翻案し、江戸川乱歩が現代語訳したものを復活出版。
(河出書房新社 2000円+税)