「中野京子と読み解く 運命の絵」中野京子著

公開日: 更新日:

 マネの「フォリー・ベルジェールのバー」は、パリのミュージックホールのスタンドバーのカウンターに立つ売り子嬢を描いた絵だ。その後ろは一面の鏡になっていて、酒瓶や客の姿が映っている。

 だが、マネは真後ろに来るはずのヒロインの後ろ姿を意図的にずらして、あり得ない場所に描いている。これはマネのつくりだしたイリュージョンなのだ。彼女の前にはひげを生やした紳士が立っている。好きなタイプではない。だが、早く良いパトロンを見つけなければ若い子に仕事を奪われる。運命の分岐点に立つ彼女の前を、孤独が木枯らしのようによぎった。

 他にワッツの「選択」など、人生の流転を描いた名画を、中野京子が該博な知識と鋭い視点で読み解く。

 (文藝春秋 1780円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHKも優遇なし 青山アナに「育休中の給与返せ」批判の誤解

  2. 2

    福岡知事選で“麻生アレルギー” 学会や九州財界から爪弾き

  3. 3

    丸獲得でも変わらず 巨人がOP戦で露呈“広島恐怖症”の重篤

  4. 4

    死骸で発見のジュゴンは…辺野古埋め立てで行方不明だった

  5. 5

    北方領土「第2次世界大戦の結果論」というのは暴論である

  6. 6

    東京福祉大“消えた留学生”問題を招いた安倍政権の数値目標

  7. 7

    籠池氏が久々の爆弾発言「昭恵付職員が財務省室長と面会」

  8. 8

    東京五輪で終電延長 鉄道各社が強いられる“ブラック労働”

  9. 9

    ルノーと三菱グループ急接近か 日産含む“3社統合”への思惑

  10. 10

    記者に華奢な手を差し出し…葉月里緒奈に感じた“魔性の女”

もっと見る