「テレビ社会ニッポン」太田省一著

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 テレビには草創期から視聴者参加番組という形で「出る権利」はあったが、「見る権利」は長らく意識されていなかった。1990年代になると視聴者はツッコミという手段を与えられて、見る「権利」を感じるようになる。

 99年になると、ネット掲示板「2ちゃんねる」(現・5ちゃんねる)が立ち上げられ、匿名のコミュニケーションの場となった。2ちゃんねるにはドラマ評や笑いのネタ評が書き込まれるようになり、視聴者言語は「見える」化される。反応が素早いため、ネットの声が「世論」であるかのような扱いをされているが、この「世論」は必ずしもテレビ批評の成熟には直結しない。

「面白主義」の限界を突いた鋭いテレビ論。

(せりか書房 2400円+税)

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