「愛の伊予灘ものがたり」西村京太郎著

公開日: 更新日:

 取材で観光列車「伊予灘ものがたり」に乗車した雑誌記者の新見は、乗客の老婆が気になる。彼女は、行きも帰りも同じ場所で数珠を握り海に向かって瞑目していた。

 松山駅で下車した彼女を追うと、娘が営む飲食店にたどり着く。客を装い話しかけるが、ハルという名の老婆の口は重い。調べると93歳になるハルは終戦の日の翌日、松山海軍基地を飛び立った3機編成の紫電改が、伊予灘の上空を飛んで佐田岬の方へ消えたのを見たと言い続けているらしい。しかし、当時の記録にはそのような事実はなかった。

 やがて新見は、ハルの弟が終戦の翌日に特攻を命じられて戦死した事実を突き止める。数日後、新見の他殺体が東京の自宅で見つかる。

 戦史の闇をえぐり出す十津川警部シリーズ最新刊。

(実業之日本社 900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状