「ニュー・エリートの時代」中島聡著

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの影響により、ビジネスシーンでは複数の“二極化”が進んでいる。例えば、飲食業界とソフトウエア業界など、外出自粛の影響をじかに受ける業界とそうでない業界の二極化。さらに、リモートワークに必要なツールを使いこなせる人とそうでない人。そしてリモートワークにより個々の生産性が可視化されることで、会社に必要な人といなくても困らない人の間でも二極化はますます進むと予測される。

 本書では、かつて米マイクロソフトでウィンドウズ95などの開発に携わった著者が、コロナ禍におけるビジネスや働き方の二極化を解説。これを乗り越え、生き残る人材になるためのヒントを提示している。

 ポストコロナ時代には、新しい形のエリート層(ニュー・エリート)も生み出されると本書。彼らは、オンラインツールを使いこなし生産効率が桁違いに高く、それ故に時間に束縛されることを極端に嫌い、仕事の成果のみで勝負する。“やる価値がある”と感じた仕事を選んで働くなどの特徴を持ち、今後の人材市場で圧倒的な力を持つ人々だ。

 ニュー・エリートになるにはイノベーションを起こす力が不可欠だが、リモートワークは絶好の機会である。通勤時間が不要になり、飲み会や付き合い残業がなくなれば、優秀な人材の生産性は格段に向上するはずだ。これは、グーグルの20%ルール(勤務時間の20%を担当外の業務に使う)に似た働きを持つ。手を動かし、プロトタイプをつくり、当事者意識を持つことができれば、イノベーションは個人でも起こすことができ、ニュー・エリートになり得ると本書。

 ピンチをチャンスと捉え進化できる人材だけが、ポストコロナ時代を生き残ると心得たい。

(KADOKAWA 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束