「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子著

公開日: 更新日:

 雪の夜、森田座の裏通りにたたずむ娘に男が声を掛け、腕を引いた。

 娘が振り袖を脱ぎ捨てると、そこに現れたのは前髪の美少年。「我こそは伊納清左衛門が一子、菊之助」と名乗ると、男に斬りつけ、見事、父の仇(かたき)を討ち取った。と、世に言う「木挽町の仇討ち」を口三味線で語ったのは、森田座の木戸芸者。芝居小屋の前で入るのをためらっている客を誘い込むのが仕事だ。

 実は仇討ちを成し遂げた菊之助は、木戸芸者に頼んで芝居小屋で仕事をしながら、父の仇、博徒の作兵衛をおびき寄せようとしたのだ。だが、この事件には秘められた真相があった。

 さまざまな人物の話から真相が浮かび上がるミステリー仕立ての時代小説。

(新潮社 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  5. 5

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  1. 6

    「好感度ギャップ」がアダとなった永野芽郁、国分太一、チョコプラ松尾…“いい人”ほど何かを起こした時は激しく燃え上がる

  2. 7

    衆院定数削減の効果はせいぜい50億円…「そんなことより」自民党の内部留保210億円の衝撃!

  3. 8

    『サン!シャイン』終了は佐々木恭子アナにも責任が…フジ騒動で株を上げた大ベテランが“不評”のワケ

  4. 9

    ウエルシアとツルハが経営統合…親会社イオンの狙いは“グローバルドラッグチェーン”の実現か?

  5. 10

    今井達也の希望をクリアするメジャー5球団の名前は…大谷ドジャースは真っ先に“対象外"