「沖縄密約ふたつの噓」諸永裕司著

公開日: 更新日:

「沖縄密約ふたつの噓」諸永裕司著

 1972年、国会で野党の代議士が一枚の文書を手に時の総理・佐藤栄作に迫った。その文書とは、沖縄返還を巡り政府が否定し続けてきたアメリカ側との密約があったことを裏付ける外務省の機密電信文の写しで、新聞記者の西山太吉氏が入手して代議士に渡したものだった。その後、西山氏と機密電信文を渡した外務省の女性事務官の関係が暴かれ、そのスキャンダルばかりに注目が集まり、密約問題が問われることはなかった。

 本書は、夫に裏切られ、それを世間にさらされた上、夫をおとしめた国の嘘にも苦しみ続けた西山氏の妻・啓子さんと、西山氏が国に挑んだ情報公開請求訴訟(1審)で歴史的な判決を導き出した小町谷育子弁護士の2人が主人公。

 女性2人の視点から国家によって葬られた西山氏の足跡を追ったノンフィクション。

(集英社 880円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」