「犯人と二人きり」高野和明著

公開日: 更新日:

「犯人と二人きり」高野和明著

 13年勤めた会社でリストラに遭い、無職になった30代半ばの沢木に、ある日、噂を聞きつけた大学時代の友人、谷村から電話が入る。再就職のつてを探す代わりに、頼みがあるというのだ。

 毎晩、夜道を同じ足音がつけてくる。だが振り返っても人影はない──。谷村の依頼というのは、その足音が沢木にも聞こえるのか確かめてほしいというものだった。

 沢木は翌日、谷村の言う夜道を歩き、果たして、人影はないが確かに足音を聞いたのだった。翌昼に現場へ赴いた沢木は、声をかけられた刑事から近くの寺で若い女性の遺体が発見されたことを聞かされる。沢木は谷村の言葉を思い出し、「女性はエナメルのブーツを履いていなかったか」と尋ねたところ……。(「跫音」)

 殺害された女性の幽霊が多くの人に目撃される「死人に口あり」、閉め切られた小学校に殺人鬼と残される「二つの銃口」など、7つの怪事件を収めた傑作短編。各編ホラーやSF、ファンタジーなど趣向を凝らしながらも、いずれも「犯人と二人きり」というシチュエーションが読み手に緊張感を与える。

 徐々に事件の真相に迫るも、予想外の結末に背筋がゾッとすること間違いなし。

 (文藝春秋 1980円)




【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    麻生太郎が「皇室典範」改正を急ぐ理由は…“日本会議の30年の集い”に間に合わせたいから

  2. 2

    福山雅治も結婚後は苦戦…亀梨和也も正念場を迎えている

  3. 3

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  4. 4

    安青錦は「カラダ」より「アタマ」に課題…2ケタ勝利で大関復帰を果たせるか

  5. 5

    小栗旬は「思い入れがない」コメント…福田雄一監督また炎上でも仕事が減らない映画業界のウラ事情

  1. 6

    要潤、玉山鉄二、速水もこみち…40代イケオジ俳優3人の「人生いろいろ」

  2. 7

    高市首相に“もう1つの爆弾”「副首都法案」炸裂の可能性 会期延長なら疑惑追及&身内疲弊のWパンチ

  3. 8

    二宮和也をNHKが起用で音楽特番MCは元嵐まみれに…テレビ局では“ポスト嵐”探しが迷走中

  4. 9

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  5. 10

    引退した東山紀之に錦織一清演出で「少年隊」還暦コンサートのすすめ