「犯人と二人きり」高野和明著

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「犯人と二人きり」高野和明著

 13年勤めた会社でリストラに遭い、無職になった30代半ばの沢木に、ある日、噂を聞きつけた大学時代の友人、谷村から電話が入る。再就職のつてを探す代わりに、頼みがあるというのだ。

 毎晩、夜道を同じ足音がつけてくる。だが振り返っても人影はない──。谷村の依頼というのは、その足音が沢木にも聞こえるのか確かめてほしいというものだった。

 沢木は翌日、谷村の言う夜道を歩き、果たして、人影はないが確かに足音を聞いたのだった。翌昼に現場へ赴いた沢木は、声をかけられた刑事から近くの寺で若い女性の遺体が発見されたことを聞かされる。沢木は谷村の言葉を思い出し、「女性はエナメルのブーツを履いていなかったか」と尋ねたところ……。(「跫音」)

 殺害された女性の幽霊が多くの人に目撃される「死人に口あり」、閉め切られた小学校に殺人鬼と残される「二つの銃口」など、7つの怪事件を収めた傑作短編。各編ホラーやSF、ファンタジーなど趣向を凝らしながらも、いずれも「犯人と二人きり」というシチュエーションが読み手に緊張感を与える。

 徐々に事件の真相に迫るも、予想外の結末に背筋がゾッとすること間違いなし。

 (文藝春秋 1980円)




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