「旅は老母とともに」伊藤礼著
「旅は老母とともに」伊藤礼著
喜寿を超えた母が突然、北海道に行くと言い出した。12人もいた父の兄弟姉妹の生き残りに会うという。それが実現したのは、父の郷里、大樽市で開かれる、作家だった父・伊藤整を記念する行事に出席することになったためだ。
札幌のホテルで大樽市長と会食して、父の詩が印刷されたテレホンカードをもらった。母が「これ何なの」と聞く。お金の代わりにそれを電話機に入れて電話をかけると説明すると、電話機にカードを入れるところがあるのかと驚く。「そりゃ、うちの電話機にはないよ。公衆電話にそういう仕掛けがあるんだ」と言うと、「そんなこと知らなかったわ」。
母との生活をつづった10編のエッセー。
(夏葉社 2750円)

















